2013年6月20日木曜日

「自分を育てる読書のために」



途中で何度も涙が出てしまった本です。

岡山の小さなまちの中学校に学校司書教諭として勤務したときの経験から、
今の中学生と大人との関わり方、読書体験の支援の在り方について綴った一冊。

私は小さいときから図書館は大好きだし、学校の図書室にもよく行ってました。
自分の大学では司書の単位が取れなかったので、
別の大学の公開講座に夜間通って資格を取ったりもして、
このまま司書になるのかな、と思っていたら、横道にそれて今に至るわけですが。。

そんな自分自身の経緯もあり、「こどもと読書」も、関心テーマのひとつにあり、
図書館で何気なく手に取りました。
何よりタイトルに惹かれた。
「自分を育てる読書のために」
自分を育てる、ってまさにそうで。
でもそれは大人がある程度のところまでは丁寧に用意してあげないと、
こどもの自主性に任せているだけでは難しいのではないかな、とも感じていたので、
「はじめに」から大いに共感しました。

(引用)----------


「なぜ中学生から大学生にかけて、読書することがとりわけ大切になるかというと、それは、広い意味での思春期にあたるこの時期が、嵐の海を渡るようにあぶなっかしいものであるにもかかわらず、大人からの直接的な手助けが受けにくくなるのがふつうだからです。」

「物語から得た経験と照らし合わせて、自分で判断しようとする」

「いま「物語から得た経験」と言いましたが、まさにここに読書の大きな意味があります。「白雪姫」ひとつを参考にしただけでは、そう柔軟な判断はできないでしょうが、昔話にはずいぶんいろんなものがあって、相反するメッセージをもつものも珍しくないくらいですから、たくさんストックしておけば、岐路に立たされたとき目の前の選択しが見えやすくなります。創作文学になれば昔話よりも描写がリアルで、感情移入がしやすいので、主人公たちが失敗や挫折を乗り越え、自分の生き方を見出していく道のりをともにすることで、自分自身が問題に直面したとき、どうすべきかを判断する知恵や、困難に立ち向かう力を得ることができます」

「でも、すっかり本離れしている今の中高生たち、ゲームやインターネットに愉しみを求め、読むとしてもケータイ小説くらいという中高生たちに、どうすれば有能なアドバイザーになりうるような本を手にとってもらうことができるのでしょう」

(引用ここまで)----------




本文は、司書の小幡さんが、時に涙しながら、粘り強く見守りながら、
こどもたちと共に成長している姿に、なぜか涙がでてきました。

こどもたち一人ひとりの心の成長を
読書支援という形で見守ってくれる先生がいる学校。素敵。。

個人的にも、自分の中高生時代を思い出して、
既に読書の習慣はあったものの、
中には行き詰まって読み進められない本もあったので、
「先にもっと面白いことが待っているから、もう少し読んでみない?」と
言ってくれる人がいたら、どんなに嬉しかったか、と思います。

お客さんがほとんどこない家で、
親や近所の人、友だちの親、クラスの先生、習い事の先生以外に
大人と接する機会がなくて、余計そう思うのですが、

いわば図書室というサードプレイスで、
「聞いてー」
「教えてー」
「私にぴったりの本ってどんなん?」と気軽に聞ける人がいたり、
児童文学について熱く語る人がいたら、
どんなに素敵なことかと思います。

図書室が、学校というこどもたちが日常を過ごす場の中に
自然に組み込まれている、というのがまたいいですね。
もちろん図書室に行かない子は近づきもしないのだけど、
友だちに誘われて、ふと通い始めることもあるだろうし、
学級文庫や朝読や図書室を使った調べ学習があると、
足を運ぶ機会もあるでしょう。

この本は、選りすぐりの児童文学の紹介にもなっていて、
私自身が「あれも読みたい、これも読みたい」と思ってしまうほど。
こどもたちとのふれあいや成長のエピソードと共に本が登場してくるので、
より魅力的にうつるのかもしれません。


「ホラー小説やケータイ小説、アニメやゲームのノベライズ版など、
たいして頭を使わなくても欲求を満たしてくれるようなお手軽な読みもの」と
「思考力と想像力を総動員しないと読めないような質のいい物語」
との間を行き来することが大切ではないか、と小幡さん。
私も、そういうものを読んだこともあるけれど、やっぱりすぐにやめてしまったな。
どれも似たり寄ったりな内容で、「私にぴったり」感もなくて。
背伸びしていろいろ読んでみたけど、それも結果的にはよかったと思う。
思春期は揺れ動きながら行き来をして、「これ!」というものが見つかっていくのかも。

親だけではもうどうしても見守りきれなくなる思春期の時期。
学校には、充実した図書室と学校司書教諭の存在が、不可欠なのだということを痛感します。


エピソード一つ一つに一瞬のきらめきがあって、
それが美しくて、涙が出るのでした。
読書好きな、子育て中の方にもぜひ読んでほしいなぁ。


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