2013年6月19日水曜日

「あの画家に会いたい個人美術館」


「個人美術館が面白いよ」という話を、旧友から5〜6年も前に聞いていた。
やはり彼女には先見の明というか、世界を独特の角度で切り取る才能がある。
そんなことを思い出した、この一冊。
(ちなみに2009年刊)

「美術の教科書のあの絵の!」という人から
「あー、なんとなく聞いたことあるかも?」とか
「すいません、今回初めて知りました」という方まで、
個人美術館(一人の画家にスポットを当てた美術館)がずらりと並ぶ。

この本の素敵なところは、日本各地を旅しながら、
その時代のその土地が画家や絵に与えた影響を丁寧に探りながら、
画家の人生を追体験できるところだ。
紀行文のようでも、インタビュー集のようでもあり、
伝記のようでも、美術書のようでもある。
なんとなくおトク感がある。

この本の執筆をされた大竹昭子さんは、
ノンフィクション作家、エッセイスト、そしてインタビュアーでもあるとのこと。
取材に基づいた丁寧な考察と、
画家や作品とまるで対話するように向き合っている様子が、読んでいて心地好い。

行ってみたいのは、

・大川美術館 松本竣介記念館(群馬県桐生市)
 大川さんという方(会社員だったらしい)のコレクションを集めた美術館。
 7000点(作家400名)という量は、個人レベルでは有り得ない、驚き。
 ハーブ&ドロシーを思い出す。
 松本竣介の生き様も惹かれるものがある。
 東京で昨年回顧展をやっていたらしい。行きたかった、残念。

・真鶴町中川一政美術館(神奈川県足柄下郡)
 向田邦子の本の装幀や、自宅の虎の絵(もう我は駄目だと思ふときもある、やってゆかうといふときもある)などで知った。
 生で見て、エネルギーをもらいたい。

・熊谷守一記念館(岐阜県中津川市)
 要町の熊谷守一美術館の方は先日訪れたので、こちらもぜひ行ってみたい。
 近くに温泉もあるようだし。
 
などなど、要は全部訪れてみたいのだけど。。

それにしてもどの画家の人生も、またその周りの家族の人生も、
壮絶というか奇抜というのか。
困窮の中、夭折する画家も多い。
青木繁なんて、凄まじいといってもいい。
生きるとは何か。
そんなことを考えてしまう。

この本には載っていないけれど、
先日訪れた佐伯祐三アトリエ記念館も、私の好きな写真家植田正治写真美術館
いわゆる個人美術館か。
そうそう、石神井のいわさきちひろ美術館も。
こうしてみると、全国にはたくさんの個人美術館があるのだな。

個人美術館では、「彼もここから見えるあの木を眺めていたのかな」とか、
など、画家に少し近づける気がして嬉しい。

多くが辺鄙なところにあるが、どれもわざわざ訪ねていく価値はある。
そこでしか感じられない空気があり、見られない風景があるから。
むしろそのためだけに旅に出るなんて、贅沢な愉しみだ。

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